最近のマンションでは、エントランスや郵便ポストなどに防犯カメラが設置されていることが増えていますが、意外と見逃されがちなのがエレベーターです。
エレベーター内は完全に密室となり、その状況を利用した痴漢被害などが後を絶ちません。
やはり安心・安全なマンションにするためには、エレベーターにも防犯カメラを設置すべきと言えるでしょう。
本記事では、エレベーターの防犯カメラ事情について解説します。
目次
エレベーターに防犯カメラを設置する必要性
エレベーターは完全な密室となるため、もしも不審な人物と二人きりになったとしたら、ほんの数分であっても大きな不安を感じてしまうでしょう。
実際、マンションではエレベーター内でのトラブルが多く報告されています。
そこで防犯カメラが設置してあれば、万が一トラブルに巻き込まれた際には映像が犯人逮捕に役立つ可能性があります。
また、そもそも「防犯カメラが設置されている」ということが、犯罪を抑止する効果を持つのです。
エレベーターで起こりうる事件
実際にエレベーターの中ではさまざまな事件が発生しており、いつ誰が被害に遭うかは予想できません。
その中から、誰にでも起こりうるトラブルについてご紹介しましょう。
器物破損やいたずら
エレベーター内では、一般の人が考えるよりはるかに多くの器物破損やいたずらが起こっています。
とくに、酔った勢いでエレベーターのドアや壁を蹴って壊してしまったり、へこませてしまうようなケースが多く、本人には記憶がないため当然自覚もなく、後々トラブルになりがちです。
また、子どもがいたずらをして壁を汚してしまったり、ふざけていてドアのガラスを割ってしまうこともあります。
中には、ある日「エレベーターの壁が削れている」と住人から連絡を受けた管理人が防犯カメラを確認したところ、入居者が引っ越しの荷物を運んでいる最中に家具で壁を削ってしまいそのまま放置したことが発覚した、というようなケースもあります。
ストーカーや迷惑行為
密室となってしまうエレベーターは、ストーカーや傷害事件などの被害に遭いやすい状況です。
とくに監視カメラのないエレベーター内で「不要に密着された」「ドアが閉まる直前に鞄をひったくられた」などの被害が後を絶ちません。
また、エレベーターは乗客が降りた階が分かってしまうこともあり、住人同士のストーカー行為も報告されています。
迷惑行為も珍しくはなく、エレベーターにゴミが放置されていたり、中でタバコを吸う住人がいたりとさまざまな事例があります。
多くの場合は大家さんや管理会社に連絡がいきますが、いくら貼り紙などで注意喚起したところであまり状況は改善されないのが実情です。
エレベーターに防犯カメラを設置するメリット
エレベーター内に防犯カメラを設置するメリットは、大きく分けて二つあります。
防犯カメラの目的を明確にするためにも、この二つをよく理解しておくことが大切です。
犯罪・迷惑行為の抑止力
エレベーターに防犯カメラを設置する最も大きなメリットは、犯罪や迷惑行為を未然に防ぐ「抑止力」にあります。
実際、エレベーターに限らず、防犯カメラのある場所では犯罪やいたずら行為が大幅に減少したという結果が、世界中で報告されています。
とくに計画的な犯行に対する抑止力は非常に高いとされており、特定の人を狙ったマンション内での犯罪やいたずらには大きな効果が期待できます。
犯罪・迷惑行為の証拠映像の確保
万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合、防犯カメラの映像が犯人の特定に役立つケースは多々あります。
また、マンションの場合はエレベーター内の犯罪だけでなく、不審者が侵入した際にも映像が有効な手がかりとなるでしょう。
一般的に、エレベーターは天井に防犯カメラが設置されているため、犯人が帽子などを被っていると意味がないなどと思われがちですが、エントランスなど他の防犯カメラと合わせて映像に残すことで、より犯人像が特定しやすくなります。
関連記事>>防犯カメラ映像の開示請求をされた場合の対処方法
エレベーターへの防犯カメラ設置を躊躇する理由
エレベーター内の防犯カメラの必要性を理解していながら躊躇してしまうのは、一般の防犯カメラに比べて格段に費用が高いためです。
これからマンションを建てるという場合はまだ相談の余地がありますが、既存のマンションに取り付ける場合は通常カメラの数倍も費用がかかってしまうため、躊躇するのにも無理はありません。
というのも、エレベーター内の防犯カメラは映像を送受信するためのケーブルが安易に接続できず、有資格者しか作業できないのが一つの理由です。
また、作業が複雑になるため工事が長期化したり、既存のマンションの場合は、それらに加えてエレベーターの保守会社の立ち会いが必要になったりと、大幅に費用がかさむのです。
関連記事>>防犯カメラを設置する際の費用相場
エレベーターへの防犯カメラ設置に必要な資格
エレベーターに防犯カメラを設置できるのは、特殊機器を扱える上、防犯に関する知識と電気工事を行う技術を持つ人に限られています。
必要な資格について、一つずつ見ていきましょう。
防犯設備士
防犯設備士は「公益社団法人 日本防犯設備協会」が認定する資格です。
防犯カメラだけでなく、全般的な防犯設備に関する専門知識を有しています。
合格するだけでは有資格者にはなれず、警察の審査を通過した上で日本防犯設備協会に加入する必要があるのが特徴です。
防犯カメラを導入する際は、ただ設置するだけでなく効果的な設置方法や防犯性の高い環境作りについてアドバイスもしてくれます。
第一種電気工事士
第一種電気工事士は、電気工事法に定められた国家資格です。
とくに第一種を取得するのは難しく、屋内外の作業におけるより専門的な知識と技術が求められます。
エレベーターに防犯カメラを設置する際に必須となる資格ではありませんが、設置工事は一般の人が考えるよりも複雑です。
電気設備に精通しているプロがいる業者に依頼するのが賢明といえるでしょう。
昇降機検査資格者
昇降機検査資格者とは、エレベーターやエスカレーターの検査をするプロです。
一般的な防犯カメラとは異なり、エレベーターの防犯カメラ設置には、昇降機検査資格者の立ち会いが必要です。
通常、防犯設備業者にも電気工事のプロが在籍していますが、昇降機検査資格者までいる業者はほとんどないのが実情です。
定期的にエレベーターの点検やメンテナンスを依頼している業者に相談してみましょう。
エレベーターに防犯カメラを設置する際の費用相場
単純に防犯カメラを設置するだけであれば、25〜35万円ほどで可能です。
この場合、ある程度の犯罪抑止力にはなりますが、リアルタイムで状況を確認することができないのが難点です。
一方、防犯カメラと合わせてモニターを設置すれば、事件や故障などの状況が把握しやすくなります。
40〜50万円と若干費用はかさみますが、より安心感が得られるでしょう。
遠隔で映像を確認したい場合は、ネットワーク機能が必要です。
他の方法とは異なり、管理人室などからリアルタイムで様子を確認できるため、防犯性も格段に上がります。
費用は50万円〜を目安にしておきましょう。
コストパフォーマンスから考えてもエレベーター内の防犯カメラは有益
いかがだったでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、エレベーターに防犯カメラを設置する必要性やメリット、費用相場などについてご理解いただけたと思います。
エレベーターに防犯カメラを設置するとなると、通常のカメラ設置よりも費用がかかりますが、住人の安全を守るためには必要不可欠です。
トラブルがあった際に役立つだけでなく、犯罪行為自体を未然に防ぐ効果が十分に期待できるため、費用対効果も高いと考えていいでしょう。
住人が安心できるマンションにするためにも、エレベーターへの防犯カメラ設置がおすすめです。
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